CASE-004 MD SYSTEM for PD
全プレス機にタブレットを。
生産の「今」を、現場から直接データに
プレス生産の実績を現場で収集し、生産から出荷までの情報を一元化・見える化した生産実績収集システム ― "MD SYSTEM for PD" 導入事例
導入時期:2024年~(DXハンズオン支援:2023年7月~2025年2月)
開発言語:PHP, MySQL, JavaScript
DXハンズオン支援を受けて
本事例は、(公財)日立地区産業支援センター(HITS)による「DXハンズオン支援」を受けて取り組んだものです。 システムやデータベースの設計についてHITSのDXコーディネーター・DX専門家の方々から助言を受けながら、プレス事業部の部課長と品質管理課・生産管理課のメンバーが中心となり、社内でシステムを開発・運用しました。
- 支援期間
- 2023年7月 ~ 2025年2月
- 支援機関
- (公財)日立地区産業支援センター(HITS)
- ご支援いただいた方
-
HITSのDXコーディネーターで、モノコト創り.com(同)の大脇隆志様
HITSのDX専門家で、丞コンサルティング㈱の飯泉紀子様
HITS DXハンズオン支援担当 安藤敏之様 - 当社参加部署
- プレス事業部(プレス生産課)・品質管理課・生産管理課・システム開発
- トライアル・運用
- プレス事業部
課題 ~AS-IS~
金型事業部に比べて歴史が浅く、勢いで大きくなったプレス事業部。生産アイテムや生産数が増えるにつれ、これまでの場当たり的な管理が通用しなくなっていました。
管理資料を各個人がExcelで作成。作業性が悪く無駄が多いうえ、管理が特定の担当者に依存していました。
作業者に生産計画や実績が共有されず、目標に対して自律的に行動することが難しい状態でした。
生産実績をリアルタイムに把握できず、問題点や課題の発見が遅れがちでした。
部課長が管理業務に追われ、棚卸にも時間がかかるうえ正確な数字が出ず、損益の確定に苦労していました。
目指す姿 ~TO-BE~
生産から出荷までの情報の一元化・清流化・共有化
現場サイド
- 各個人がExcelで管理していた情報を一元化し、管理の属人化を防ぐ
- 生産から出荷までの一連の情報を淀みなく活用し、無駄な作業をなくす
- 現場で必要な情報を即時共有し、自律的な仕事を可能にする
経営サイド
- 問題点や課題を早期に把握し、迅速に対応できるようにする
- 部課長の業務を効率化して属人化を解消し、ストレスフリーな職場にする
- 棚卸のスピードと精度を上げ、信頼性の高い損益を確定する
なぜ自社システムで実現したのか
検討の段階では、ノーコード・ローコードツールによるデータベースや画面のサンプルも作成していただき、実際に確認しました。便利なツールである一方、次のような点を考え、2012年から運用している自社開発の基幹システム「MD SYSTEM」に新たな機能として実装することを選びました。
学習コスト
新しいツールを使いこなすための学習に、別途時間と労力がかかること。
長期的なコスト
会社の成長とともに利用者が増えたとき、ライセンス費用が決して小さくないこと。MD SYSTEMはオープンソースのPHP・MySQLで構築しており、ソフトウェアのライセンス費用がかかりません。
情報資産を自社で持つ
会社の財産である生産データを外部サービスに蓄積し、抜け出せなくなるリスクを避けたいこと。
プレスの生産管理機能は以前から実装したいと考えていましたが、長年の機能追加で複雑になったシステムに手を入れるのは簡単ではありませんでした。ハンズオン支援で専門家に相談しながら、期限を決めて取り組むことで、2024年3月頃にようやく開発をスタートできました。
取り組み:生産から出荷までをひとつの流れに
MD SYSTEMに、プレス生産の計画から実績収集・出荷検査・梱包出荷までの機能を新たに実装しました。
各工程で登録された情報は次の工程へそのまま引き継がれ、事務所のモニターでリアルタイムに共有されます。
生産計画
プレス機ごとの生産・設備計画を作成
実績収集
現場のタブレットで生産実績を登録
出荷検査
ロットごとのサンプル検査と合否判定
梱包・出荷
合格ロットを注番に割り当てて出荷
見える化
稼働状況・生産実績をモニターに表示
生産実績収集用タブレット端末
11インチのAndroidタブレットをプレス機全14台に設置しました。 画面にはそのプレス機の計画数・実績数・進捗率が常に表示され、作業者は大きなボタンをタップするだけで生産の開始から検査完了までを記録できます。
カウントアップ時には生産担当者・生産数量・継ぎ回数を登録し、ロット番号はシステムが自動で採番。 カウントアップ以外の停止では停止区分の登録を必須とし、どの設備が・なぜ・どれだけ止まったのかもデータとして残ります。

停止中 ― 生産開始
計画にもとづいて図番を選び、START で生産を開始。シフトやカウンター値、ダイハイトもこの画面から登録します。

生産中
生産中はステータスが青に。リール1巻の生産が終わったら CountUP、それ以外の停止は STOP を押します。

カウントアップ
生産担当者・生産数量・継ぎ回数を登録。ロット番号が自動で採番され、検査待ちの状態になります。

検査中 ― 検査完了
検査担当者と合否を登録して完了。合格したロットだけが実績として計上され、停止中の画面に戻ります。

異常停止 ― 停止区分の登録
カウントアップ以外で止めたときは、材料交換・金型メンテ・設備異常などの停止区分と担当者を登録してから再開します。
現場での見える化
タブレットから集まった実績は、MD SYSTEMで即座に集計されます。
事務所や打ち合わせスペースのモニターで、誰もが同じ情報をリアルタイムに確認できます。
導入後の効果 ― 現場の声
プレスオペレーター
- モニターで進捗がひと目で分かる。遅れにすぐ気付けるので挽回が効く
- 生産計画が見やすく分かりやすい
- タブレットにもその機械の実績が表示されるのが良い
- 日ごと・月ごとの実績が分かりやすい
生産管理課
- 作業者が生産計画と目標生産数を強く意識するようになり、生産数が上がってきている
- 目標に届きそうにない機械があると、担当外の作業者も声を掛け合ってフォローに入るようになった
- 事務所のモニターで生産状況が分かり、トラブル時の情報が取りやすくなった
- 日報が分かりにくいときも、実績データと照合して状況を把握できる
品質管理課
- 検査の進捗が一覧で見える
- 変化点が一覧で見えるので、製品サンプルとの確認がしやすい
- モニターで生産中の製品が分かるため、測定の準備ができる。稼働していないことも分かる
取り組みのあゆみ
DXハンズオン支援スタート
プレス事業部の課題(AS-IS)と目指す姿(TO-BE)を整理し、実現の手段を検討しました。
MD SYSTEMへの実装を開始
生産計画 → 実績収集 → 出荷検査 → 梱包出荷 → 見える化の順に、機能の開発とプレス事業部でのトライアル運用を進めました。
ハンズオン支援を完了
全14台のプレス機へのタブレット設置と、事務所モニターでの見える化を実現。2025年3月に成果報告を行いました。
ロットトレース・在庫管理を実装
ハンズオン支援で積み残した課題にも継続して取り組み、タブレットで収集した生産実績をもとに、生産から検査・出荷までを遡れるロットトレースと、製品・材料の在庫管理を実装しました。
これからの取り組み
協力工場との生産計画・実績・出荷情報の連携、作業日報のペーパーレス化、共有すべき情報のExcel管理の削減などに取り組んでいきます。
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